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尊敬ってやつがいかに哀れか。
中島らものエッセイを読んでると、「一般人に近い人がアイドルなりになる時代が来る」って書いてたがその通りだ。
AKBが可愛いか?歌が下手でダンスが出来なくてもアイドルになってる。
そしてみんなそれにあこがれて追従を試みる。偶像崇拝に近い。
俺はとある人を崇拝し、尊敬し、"同化"を試みた。
高校時代某バンドに憧れて歌詞に書いてることをすべて現実で実現した。
女にあまりにもモテないのに歌詞にはセックスについて書かれてあったから苦労した。実際に経験して、歌詞を書いて歌ってる人と同じ気持ちになってやろうと考えた。
その他にもここには書けない色んなことをした。
人生を捧げるって訳じゃないが、いい退屈しのぎになった。
でも、そのうち頭がおかしくなってきた。
ファンってやつは怖い。アイドルが刺されたりしてる。あの心境は俺にもよくわかる。実際に愛ってやつは死に近い。俺の場合は愛ではなくて、完全なる同化だったが。
服装を真似し、発言、言動まで真似した。で、俺は実際にその人に会った。
その人の彼女との会話、ライヴ終わりの姿を見てうんざりしてしまった。
真似をする意味がなくなってしまった。
アイドルなり尊敬する人も、プライベートでは普通の人間だ。俺は神様かなんかだと勘違いしてしまってた。
その瞬間生きてる意味がなくなってしまった。
1年間あらゆる芸術を辞めて、俺は普通の人間になろうとした。
で、そのときに歌詞の意味をようやく理解したし、今俺が聞いてる音楽は偶然にも、その人の好きな音楽と一致していた。バッハ、アシュラテンペル、レゲエ。無理して聞いたりしててものが本当に好きになっていた。
もし尊敬し、同化したいと考えるなら、その人から遠ざかることだ。
自分が自分自身であることが、もっとも神に近い。神に与えられたものが、顔面の皺、性器の大きさ、愛し方、性格、個性だから。
自分が自分であることで、その人に近づくことが出来る。他人は神だ。そして、お前は他人から見れば神だ。
神もクソするし、咳もするし、女に甘える。
お前がクソもするし、咳もするし、女に甘えるみたいに。
すがるものなどこの世の中には無い。