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Dance Missing Tilt

ライヴハウスで好きなバンドを見ていた。タイバンに山の名前のKanchenjungaと言うバンドが居た。

ヴォーカル、ベース、シンセサイザー。何をしてるのかよくわからないがなんとなく見てみようと思って見ているうちにトランスしていた。

強烈だった。ヴォーカルの鷹さんの多彩すぎる表現に、シンセのノイズ、移動しまくるつかめないベースライン。目を瞑ると本当に山が見えた。それは畏敬の念に似た者だった。

そのあと、ヴォーカルの人に話しかけると、Dance Missing Tiltと言うバンドをやってると聞いた。数日後Safariでやるというので見に行くことにした。

一番始めて見たときの正直な感想は、呆気に取られた、だった。ただのよくわからない、とそういうことではない。

4人が各々交わらないジャンベを無我夢中に叩いている。「?」って感じだった。そこに女の人、Voidさんが一斗缶を叩き出した。

マイクなしで叫びながらボコボコにされていく一斗缶。シュール、とも違う本気さ。

段々「?」とかよくわからないとか呆気に取られた、が自分の中で整理されて分かってきた。少しずつ交わり、対話になっていく音楽になっていく。

「直線の、角を飛ぶ鳥、死に絶えて、春の拡がり、白鳥の肝」

というフレーズが10分近くリピートされてライヴが終わった。

ただ、すごいものを見た。「?」などの脳が感じたものを、大抵のライヴでは整理出来てしまう、分析できてしまうが、なんなのかわからなかった。

次に見たのは戦国大統領だったと思う。その時は酔っぱらいすぎて覚えていない。鷹さんがフロアで叫ぶ。正式メンバーの4人以外にも居た気がするが思い出せない。バイオリンが居た気がする。それが正式メンバー4人での最後のライヴだったはずだからあんなに飲まなきゃよかったと後悔している。

ライヴ後にCDをもらった。タイトルはII Lucidity Substance Dimensions。略すとLSDバンド名もDance Missing Tilt、DMT。

海の音から始まり少しずつ波の音?が狂っていくイントロで始まるこのCDは2秒ほどのピアノの曲、ノイズのアンビエント、テクノ、曲線の~の色んなバージョンを収録している。CDの面には自転車の絵。曲名が盲壁、輪陀。イメージに訴えかけてくる詩。それは作品として完成しているノイズミュージックの数少ない例だと思う。大抵ノイズのCDは家で聞くと退屈なのに起伏と色んな表現に溢れてて退屈せずに何度も聞ける、耳に残るメロディもあるすごいもんだった。デモをゲットできなかったのが悔やまれる。

次に見たのは確か、ホカゲでVoidさんとBirushanahでメタルパーカッションをやってる佐野さんのライヴだったと思う。

メタルパーカッションの密教的な音に被さるヴォーカル。このときは目を瞑ると森を感じた。涼しい5月の森。

次見に行った戦国大統領のライヴではIcoさんとVoidさんの二人だけなっていた。その時はゲストメンバーを加えていたが、衝撃を受けた。

暗黒舞踏に似た女性二人での躍り、設置された赤ちゃんの人形、とにかく、総合芸術って感じだった。視覚に、聴覚に、クる。和太鼓、ジャンベ民族音楽のような音。

全てが全て覚えていない。何回もライヴに行っているから。ベアーズでのライヴは琴を使用していた。ホカゲでは眠たくなった。ぼーっとする、なにか懐かしいギターのきれいな音色。そのあともホカゲで見たと思う。VoidさんはShivaの化粧をしていた。

YouTubeのドキュメンタリー、ライヴ動画、PV。どれもヤバい。自分には意味がわからないが、わかる人にはわかる、そいつが言うに「大根を刻んでいるところは日常、バッドトリップやな、でも最後の地球でモヤモヤを昇華してくれてるねん。」と言っていた。

現在でもあるのかな、mixiのページには「極上のバッドトリップをお届けします。」と書いていた。

エネルギーの放出でもあるし、暴力でもあるし、メディテーションでもあるし、ニヒリズムシュルレアリスム、総合芸術、演舞、相反背律が混沌的に配置されてる。

最近ダダイズムにハマり、日本の前衛美術、それもアナキズムの側面が強いものの資料を集めてるが、DMTは肉体表現に似ている。少し冷めた笑いに似た部分。嗚咽みたいな吐き出し。

言語化出来ない強烈さを求めてライヴに何度も行った。

客に問いかける、意味のわからない強烈さ(意味はわかるんだけど言語にならないもの)をもっとみたい。

今、自分が好きなものの全てはこのDMTが根本になっていると思う。

芸術は、とにかく、一発目のファーストコンタクトの脳を金槌で打たれたみたいな衝撃が面白いと思う。具体の青に赤でデカく○を書いただけの絵、みたいに、理論なんて必要ない。ただただ、頭に金槌を打ち付けるものを見たいし、自分でもやりたいと、久々にYouTubeの動画を見て、CDを聞いて、ドキュメンタリーDVDを見て、そう思った。